鋳物の歴史
鋳物の歴史は古く、紀元前4000年頃、メソポタミアで始まったと言われます。銅を溶かして型に流し込み、いろいろな器をつくったのが始まりと言われます。鋳物は人間のモノづくりの中で、最も古いもののひとつと言えるでしょう。
日本に鋳物づくりの技術が伝わったのは、紀元前数百年頃。1世紀に入ると、銅鐸、銅鏡、刀剣などがつくられるようになり、奈良時代になると、仏像や梵鐘などが盛んにつくられました。各地に鋳物づくりが広がったのは、平安時代半ば以降と言われています。
鋳物が現代の工業の形態をとるようになったきっかけは、18世紀半ばにイギリスで起きた産業革命です。工場制工業の発展とともに、鋳物が広く機械文明の中に採用されるようになりました。
日本では、江戸時代末期になって近代化への動きが活発になります。幕府はオランダから技術を導入してキュポラ(溶解炉)を建設しました。これが近代化へのさきがけとなりました。
鋳物は、貨幣、装飾品、農耕具、生産機械、建築材、とその利用範囲を広げていきました。素材も、青銅、鉄、アルミとその用途と鋳造技術の発展に応じたものが使われるようになりました。鋳造技術ほど、古くて新しく、そして発展し続けている技術はないように思われます。