1. アルミニウムの物性
  2. アルミニウムの歴史
  3. アルミニウムの特性
  4. アルミキャスト(アルミ鋳物)とは
  5. アルミキャスト(アルミ鋳物)の種類別特性
  6. アルミキャスト(アルミ鋳物)鋳造方案

  アルミキャスト(アルミ鋳物)は、今では建築材料、産業機械、医療機器そして日用品など多くの分野で使われるようになりました。 たいへん若い金属、アルミニウムが広く使われるようになったのは、アルミそのものの物性や特性が他の金属と比べて優れていたからに他なりません。

そこで、先ずはアルミキャスト(アルミ鋳物)についてご理解を戴く前に、アルミの物性、歴史、特性について述べてみたいと思います。

1.アルミニウムの物性(純度99.996%)


アルミニウム(ALUMINIUM) 周期律第3族金属元素
元素記号Al
原子番号13
結晶構造面心立方格子結晶構造
原子半径1.428Å
原子容量9.99cm3/g・Atom
密度2.70g/cm3
融点660.4℃
沸点2470℃

2.アルミニウムの歴史


 アルミニウム(Aluminum)は地球上で酸素、珪素に次ぐと3番目に多い元素なのですが、 天然の金属ではなく、結合力の大きい化合物 として地殻中に存在していたので、なかなか発見されず、 アルミニウム単体の発見は電気分解が発明されてからですから、まだ200年ほどしか経過しておりません。

1807年イギリスの電気化学者H.デービィ卿が、電気法により金属ベースの酸化物を発見
1809年H.デービィは鉄と酸化アルミニウムの合金を作ることに成功。
1821年アルミニウムの原鉱石(ボーキサイト)が南フランスで発見。
1825年デンマークの電気物理学者H.C.エルステットが、アルミニウムを発見。
1888年オーストリアの化学者K.J.バイヤーが、ボーキサイトからアルミナを取り出す新しい方法を開発。
1929年日本でアルマイト処理技術を発明
1934年日本初のアルミ精錬が長野で開始
1959年レディーメードのアルミサッシが登場し、住宅での使用が増加
1966年~玄関ドア、船など、多岐に渡ってアルミが使用されるようになる。
 1968年に、日本初の超高層ビル、霞ヶ関ビルの外壁などに使用された。
 1969年には、総需要が100万トンを超えました。
1970年1971年にはオールアルミ製の缶ビールが発売。
1987年年間総需要が300万トンを超える。軽量化や材料のリサイクル化の普及
1994年再生アルミを使った地下鉄車両が登場。
1995年アルミ缶のリサイクルが促進される。翌1996年には再資源化率が65.7%になる。
 また、年間総需要が、400万トンを突破。

3.アルミニウムの特性


 アルミは、他の金属に見られない多くの特徴を持った金属です。しかし、その特徴が全ての要求を満足するものとはなり得ません。 そこで、アルミ本来の特性を兼ね備えながら、多様なニーズを満足させるために、アルミ合金が生まれました。

(1)軽い比重は2.7 鉄の1/3
(2)強い


銅や亜鉛、マグネシウム、ケイ素、リチウムなどと合金にすることにより強度を増すことが出来ます。高層ビルのサッシなど、強度の要求されるところにも使われるようになりました。
(3)腐食しない

アルミは、酸化しやすい金属なので酸化皮膜がすぐに生成します。この酸化皮膜(アルミナ)が保護膜となるので、大変耐蝕性がよいのです。
(4)加工がしやすいアルミは圧延、押出、鍛造、成形など加工が容易です。
(5)電気を通す

純アルミの電気伝導率は、銅に次いで高い電気伝導率を持つ金属です。重量の軽減が望まれている高圧送電線は、今ではほとんど銅からアルミに代わっています。
(6)熱しやすく冷めやすい

アルミの熱伝導率は、銅の約2/3で、鉄の約3倍です。だから、アルミ製のやかんはすぐにお湯が沸くのです。
(7)磁気を帯びない磁石にくっつきません。電子機器に多く使われています。
(8)反射性が高いアルミは熱や光、電波をよく反射します。
(9)低温に強い

伸びやねばりが強い(じん性)という特性を持っていますので、-196℃の低温にも耐えることが出来ます。
(10)真空特性が良いガス放出が他の金属に比べて非常に少ない。
(11)鋳造しやすいアルミは融点が低いので(660.4℃)、溶解が容易です。
(12)接合性が良い溶接、はんだ付け等で容易に接合できます。
(13)毒性が無いアルミは無臭、無害です。
(14)見ためが美しさ
(15)リサイクルしやすい

4.アルミキャスト(アルミ鋳物)とは


 アルミニウムを溶かして、砂等で作成した鋳型(いがた)に流し込んで作る製品のことを言います。また、鋳造とは、溶かして流し込んで作る方法のことをいいます。

5.アルミキャスト(アルミ鋳物)の種類別特性


 多種多様な用途に応じた製品を作るため、多くのアルミ鋳物用アルミ合金が生まれ、またいろいろな鋳造方案が開発されました。

 例えば、耐風圧など強度が要求されるカーテンウォール、サッシなどの建築資材として、耐摩耗性を求められる自動車エンジンをはじめとする 産業用機械や自動車のアルミホイールなどに見られるような装飾を兼ねた部品そして軽量化の進む医療機械などの部品として、耐蝕性が 要求される農業関連資材、そして身近なところでは梯子や脚立などの生活用品から鍋釜などの日用品に至るまで、アルミは多くの製品に使われています。

アルミ鋳物合金には、下記の種類があります。

アルミ鉱物合金規格
1) AC2A,AC2B(AL-Cu-Si系)
   鋳造性が良く、引張りに強く、切削し易く、また溶接も容易です。
2) AC3A(AL-Si系)
   流動性が良く、薄肉の大型カーテンウォールなどに用いられます。
   また、耐蝕性に優れています。
3) AC4C(AL-Si-Mg系)
   鋳造性が良く、切削し易く、耐蝕性にも優れているが、伸びや耐力に劣ります。
4) AC4B(AL-Si-Cu系)
   鋳造性が良く、切削し易く、耐蝕性にも優れているが、伸びや耐力に劣ります。
5) AC4D(AL-Si-Mg-Cu系)
   Al-Si系の熱処理による硬化性を高め、強度と靭性を高めた合金で、
   耐蝕性に優れています。
6) AC7A(AL-Mg系)
   耐蝕性に優れ、強度、伸び、靭性も良好な材料です。
   但し、鋳造性が悪いため同質の製品を求めるのは困難です。
7) AC9A、AC8B、AC8C(AL-Si-Cu-Ni-Mg系)
   熱膨張係数が小さく耐摩耗性、耐熱性に優れています。
   自動車エンジン用として多く用いられています。
8) AC9A、AC9B(AL-Si-Cu -Mg-Ni系)
   熱膨張係数が最も小さく耐摩耗性、耐熱性に優れていますが鋳造性、
   切削性に劣ります。

6.アルミキャスト(アルミ鋳物)鋳造方案


 鋳造は、紀元前3500年ごろの青銅器時代に、日本では紀元前3世紀(弥生時代の前期)に始まったと言われております。砂型鋳造によるもので、現代で言う生型鋳造法でした。そんな大昔から鋳造は「存在」していたのです。

 先ず初めに日用品や祭事器に使われるようになり、そして武器、武具の材料として大きく発展してきました。

 また製法も時が経つにつれて発展し、複雑な機械工具が造れるようになりなりました。産業革命はこうした鋳物の発展に呼応するようにしてはじまったと言っても過言ではありません。それは、鋳物の「産業の米」と言われる所以です。

 ここでは、その方案について記載しました。

1)砂型鋳造法


砂を固めてつくった砂型に溶解した金属を流し込んでつくる方案で、Vプロセス、生型、自硬性、熱硬化型、ガス硬化型、消失模型、などの鋳造方案があります。その中の代表的な鋳造方案をご紹介します。
  • (1)Vプロセス鋳造法とは詳しくはこちら
  • (2)生型鋳造法とは

    型の入った木枠に適当な量の水等を加えた砂をいれてつくる砂型で鋳造する方法
  • (3)自硬性鋳造法とは

    型の入った金枠に鋳物砂(硅砂)に樹脂と硬化剤を混ぜた砂を入れてつくった砂型で鋳造する方法
  • (4)消失模型鋳造法とは



    蝋や発泡スチロール等で作られた原型の周りに耐火材がかぶせられ、原型を融かし去ってできた空洞に溶融した金属を流し込む事によって鋳造品を得る方法。
  • (5)ガス硬化型鋳造法とは

    粘結剤を混ぜた鋳型砂で造型し、硬化ガスを通じて硬化させる方法。
  • (6)熱硬化性鋳型(シェルモ
       ールド法)とは
    加熱した金型にレジンコーテッドサンドを吹き込み造型・硬化させる方法。
2)金型鋳造法

鋳鉄や耐熱合金鋼でつくられた鋳型に溶解した金属を流し込んでつくる方案です。金型鋳造法には下記の種類があります。
  • (1)重力鋳造法とは

    加熱した金型にレジンコーテッドサンドを吹き込み造型・硬化させる方法
  • (2)ダイカスト法
  • (3)低圧鋳造法
  • (4)高圧鋳造法
3)精密鋳造法  
  • (1)インベストメント鋳造法とは

    ワックス模型の周囲に耐火物層を形成したのち、脱ろう、焼失させる方法
  • (2)セラミックモールド法とはエチルシリケートを粘結剤とした流動砂を流し込み硬化させる方法
  • (3)プラスターモールド法とは石膏・水と砂を混ぜたもので、鋳型を造る方法
4)遠心鋳造法

高速で型を廻してその中に流し込んで作る方法で水道管に使われる鋳鉄管などを作るのにこの方案が使われます。